研修システム・認定医・専門医
研修カリキュラムの概要
当講座は循環器、腎、呼吸器、神経系の各種疾患に対して全人的医療を行うことを基本として、これらの領域の成因・病態および診療・治療に関する基礎・臨床研究を通じ、総合力のある各種域の専門医を育成することを目指しています。
現臨床研修制度における初期研修の主目的はプライマリケアのできる医師を養成することにあると思われますが、後期研修の目的は初期研修で培った広い医学的視野に立ちつつ専門性の高い医療を提供できる医師を養成することにあると考えられます。
当科では、そのような各人の希望、将来の専門分野にあわせてflexibleに選択研修を行うことを基本方針とし、中期後期研修では関連病院や旭川医大病院でより実践的な専門内科研修を行ない、専門医としての形成をはかります(下図参照)。
この間に、内科、専門内科分野の認定医・専門医の資格を取得し、国内、海外留学も念頭に入れた臨床、基礎研究を行なっていくことを目指しています。

初期研修システム(研修スケジュール)
旭川医科大学医学部附属病院研修プログラムもしくは、関連病院等の卒後研修プログラムに基づき初期臨床ローテート研修をしていただきます。
| 1年次 | 2年次 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パターン(1) | ||||||||
| 内科(様々な選択が可能です) | 外科 | 救急 | 臨床研修病院 | |||||
| パターン(2) | ||||||||
| 内科(様々な選択が可能です) | 外科 | 救急 | 精神 | 地域 | 小児 | 産婦 | 選択第1内科 | 選択第1内科 |
| パターン(3) | ||||||||
| 内科(様々な選択が可能です) | 外科 | 救急 | 精神 | 地域 | 小児 | 産婦 | 選択関連病院 | 選択関連病院 |
| パターン(4) | ||||||||
| 臨床研修病院 | 精神 | 地域 | 小児 | 産婦 | 選択第1内科 | 選択第1内科 | ||
| パターン(5) | ||||||||
| 臨床研修病院 | ||||||||
後期研修システム(研修スケジュール)
第一内科は、循環器、腎、呼吸器、神経を専門としており、以下のいずれかの専門医コース、大学院コースを選択できます。なお、専門医コースは原則として1年目は大学病院で、2-3年目は各学会認定研修施設にて研修していただきます。尚、旭川医大内科後期合同研修プログラムからの移行も可能です。(合同プラグラムの詳細は本学ホームページをご参照ください)。
(循環器内科、腎臓内科後期研修カリキュラム)
1.大学院コース
大学院は2年間の初期研修の後、大学院に進学して研究に従事するコースである。
研究領域としては、生理学、分子生物学、病理学、薬理学などが含まれ、動物を用いたwhole heartの実験から心筋細胞、血管、糸球体などを用いたin vitro系の実験まで幅広い実験系が存在する。また、基礎研究のみならず、心疾患、高血圧、不整脈、腎疾患などに関連した臨床研究のコースも選択可能である。また、学内基礎医学講座や国内、海外との共同研究も行っている。4年間で学位を取得することを目標としている。
2.循環器内科専門医コース
研修目標
- 循環器内科学に必要な基本的診療手技(病歴聴取、身体所見など)を修得し、得られた情報を明解に診療録に記録できる.また、診断に必要な的確な検査計画を立て、検査結果の正確な解釈と病態生理の把握ができる。患者の持つ問題を総合的な視野で捕らえ、最良の治療方針を立て、実行する。
- 循環器医療チームの一員として、ほかの医療スタッフと協調し、主治医として責任を持って診療してゆく姿勢を身につける。
- 救急を要する疾患や、頻度の高い症状・病態に対する初期診療能力を身につけ、さらに高度な循環器検査・治療手技についても医療チームの一員として診療に参画することができる。
- 常に最新の医学情報を取り入れ、データに裏付けられた科学的な思考ができ、またそれを発表し議論することができる。
上記の研修目標の到達を目指し、3年間の研修を行う。
さらに、経験した症例をもとに、内科学会認定医、専門医、循環器専門医資格の取得を目指す。
研修内容
大学病院、関連の循環器学会認定施設にて病棟、外来業務に従事しながら下記の検査手技、治療手技の修得を目指す。
- 一般身体所見を正確に把握できる。病態に応じた検査計画を立てることができる。
- 基本的検査(検尿、検血、動脈血ガス分析、胸部X線写真、心電図、ホルター心電図(心拍変動による自律神経機能評価を含む)、心機図、微少電位、PWVなど)の結果を解釈できる。
- 運動負荷心電図を記録し、所見を診断できる。
- 循環器系の救急病態に迅速に対応し、必要な緊急検査と治療ができる。中心静脈確保、電気的除細動、血液浄化、胸水穿刺、心嚢穿刺などを実施できる。
- 心臓・血管超音波検査(経胸壁、経食道、頚動脈エコーなど)を実施し診断できる。
- 胸・腹部CTおよびMRI検査を読影できる。
- 心臓核医学検査を実施し読影できる。
- 心臓カテーテル検査(右心・左心)を実施し、心血行動態を把握することができる。
- 冠動脈・左室造影、末梢血管造影検査を実施し所見を診断できる。
- 冠動脈インターベンション、経皮的血管形成術を実施できる。
- 心筋生検を実施し、解釈できる。
- 心臓電気生理学的検査、一時的ペーシング、ペースメーカー移植術、埋め込み型除細動器移植術、カテーテルアブレーションを実施できる。
- 心循環器系の自律神経機能検査(Head-up Tilt testなど)を実施し、診断できる。
- 循環器疾患の病態に応じた治療法(薬物療法、非薬物療法)を実施できる。
循環器内科専門医の取得条件
内科学会認定医の資格取得後、さらに3年間内科学会教育病院、教育関連病院で研修し内科学会認定専門医の受験資格を得る。内科学会認定医取得後日本循環器学会の認定施設(当院認定済み)にて3年間の研修にて循環器専門医の受験資格を取得する。
3.腎臓内科専門医コース
研修目標
当科は日本腎臓学会、透析医学会の教育研修認定施設である。
3年間の研修期間を通して、腎臓内科の全ての領域についてできるだけ多くの症例を経験させ、関連領域の管理も可能なオールラウンドな腎臓内科医の育成を行う。研修1年目は、入院患者を中心に腎臓内科医として基本的な診療技術、検査手技、治療法を身につけることを主眼とする。研修2年目は、それをさらに発展させて応用可能な技術、知識とする他、関連手技である血液浄化療法(血液透析、血漿交換療法など)に精通させるほか、関連領域である呼吸循環管理の技術を身につけることを主眼とする。研修3年目は、自らの診療レベルを検証させ、過去2年間の研修で不足している領域を補うとともに、将来にわたる臨床研究への動機付けを行う。また、腎臓内科専門医の受験資格を取得し、できるだけ早く専門医資格を取得させる。
研修計画
- 尿検査、腎機能検査法の実施とその解析の修得
- 腎臓疾患画像診断(KUB、腹部CT・MRI・MRA、腹部エコー図、核医学検査)の実施と解析
- 腎生検、腎病理組織検査の実施と解析
- 水・電解質、酸塩基平衡異常の解析と管理
- 腎不全への進展抑制、血圧の適正管理
- 血液浄化療法
- 経皮的腎動脈形成術(PTRA)の施行
以上の基本研修を研修1〜2年目で修得させる。
主に、
研修1年目 尿所見のみかた、腎機能検査、水電解質、酸塩基平衡、動脈血ガス分析、腎臓疾患画像診断、腎生検など、診断へのアプローチのしかた、病態生理の正確な把握法を修得する。
研修2年目 的確な診断に基づいた治療計画を作成し、実行する。
研修3年目 高度な診療手技(PTRA、腎動脈内ステント留置術など)を修得する。
(呼吸器内科後期研修カリキュラム)
1.大学院コース
大学院に入学し、呼吸器内科に関連した領域の研究を行う. 大学院コースは2年間の初期研修の後、大学院に進学して研究に従事するコースです。研究領域は腫瘍学、分子生物学、生理学、病原微生物学などが含まれ、主に実験室で行う基礎的研究と、症例の経過や疾患に関連する臨床的な研究が行えます。臨床研修を継続しながら、大学院コースを選択する事も可能です。4年にわたり基礎・臨床研究の楽しさを経験し、4年間で医学博士の学位を取得することを目標にします。学位の取得後は国内・海外留学や臨床医療を継続するかなどが選択できます。大学院コースでの研究の指導は、3名の研究スタッフが行います。
2.呼吸器内科専門医コース
附属病院、学会認定研修施設に勤務して臨床研修を継続する。 私たちの施設は、呼吸器関係では呼吸器内科、気管支鏡、細胞診、臨床腫瘍の認定施設です。専門医は内科指導医、呼吸器指導医、気管支鏡指導医、細胞診指導医、臨床腫瘍専門医、インフェクションコントロールドクター、レーザー専門医が在籍しています。臨床研修は、1名の主治医とともに指導医1人以上を含む4-5名でのグループ診療をしており、研修医は数人の主治医となって活躍してもらいます。診療はグループで担当する患者全員を対象とします。指導医および主治医グループのスタッフによる指導のもとで、呼吸器内科に必要な治療手技や検査手技を修得していただきます。また、診療に必要な知識を深めるために、毎日のグループ回診、症例検討会が定期的に行われます。
到達目標
- 呼吸器内科医としての診療レベルに到達すること。
- 日本内科学会・感染症学会・呼吸器学会・呼吸器内視鏡学会・アレルギー学会認定医/専門医制度の主要項目を修得する。
研修内容及び方法
病歴・診察より臨床的問題をみつけだし、その解決のためにどのような検査が必要となり、どのような治療が必要となるかをトレーニングする。
修得内容
- 病歴聴取、身体所見、診断、治療
- 基本的手技: 採血、点滴確保、血液ガス、胸腔穿刺、中心静脈カテーテル挿入、喀痰グラム染色鏡検
- 気管支鏡実技(気管支肺胞洗浄、生検を含む)
- 感染症の免疫診断、遺伝子・細菌・ウィルス診断修得
- 胸部レントゲン、胸部CTなどの画像読影と診断
- 呼吸機能検査法の修得
- 個体の免疫機能測定法修得
- 感染症に対する原因検索のための検査の進め方
- 抗生剤の適切な使用法の修得
- 急性呼吸不全の診断・治療・管理、呼吸管理(人工呼吸器、NIPPV導入、管理を含む)、気管内挿管
- 慢性呼吸不全(慢性閉塞性肺疾患など)の診断・治療・管理
- 気管支喘息の診断・治療・管理
- HIVをはじめとする免疫不全疾患の診断・治療・管理
- サルコイドーシス・肺肉芽腫症等の診断・治療・管理
- 睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠呼吸障害の診断・治療、ポリソムノグラフィ検査の修得
- 間質性肺疾患の診断・治療・管理
- 肺血栓・塞栓症、肺高血圧の診断・治療
- 肺癌の診断・治療・管理
- 肺結核・非定型抗酸菌症の診断・治療・管理
学会活動などを通じた臨床研究法の修得
- 研修1年目
院内研究会、地方会、研究会などでの発表 - 研修2年目
全国学会、国際学会での発表 - 研修3年目
全国学会、国際学会での発表、論文発表
専門医の取得
- 呼吸器内科専門医の受験資格
認定内科医を取得した後に日本呼吸器学会の認定施設で3年間研修すること - 細胞診指導医の受験資格
医師・歯科医師資格取得後5年以上で日本臨床細胞学会会員歴3年以上。
細胞診断学ならびに細胞病理学に関する論文3篇以上 - 呼吸器内視鏡認定医の受験資格
学会の会員歴5年以上で、過去5年間に術者又は助教として従事した気管支鏡経験症例計150例以上。必要業績単位数は50単位以上で、研究業績、2回以上の総会出席および1回以上の気管支鏡セミナー出席。 - 臨床腫瘍専門医の受験資格
2年以上継続して臨床腫瘍学会員で認定内科医であること。初期研修を終了した後に5年以上のがん治療の臨床研修を行っていること。研修認定施設において、 2年以上の臨床腫瘍学の臨床研修を修了した者。
(神経内科後期研修カリキュラム)
初期研修を含む臨床経験が4年以上で、そのうち2年以上を学会認定施設で研修し、かつ内科認定を有するものが神経学会認定医試験の受験資格がある。当施設は日本神経学会教育施設であり後期研修2年終了後に受験資格を得ることができる。
1.大学院コース
神経疾患、脳血管障害などの神経内科疾患に病態を基礎研究により解析し、最終的に治療・予防に結びつけるのが研究目標である。
| 3ヶ月(1) | 3ヶ月(2) | 3ヶ月(3) | 3ヶ月(4) | |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 実験基礎 | 遺伝子操作 | 細胞培養 | 動物実験 |
| 2年目 | 実験 | 実験 | 実験 | 実験 |
| 3年目 | 実験 | 実験 | 実験 | 実験 |
| 4年目 | 論文作成 | 追加実験 | 追加実験 | 論文作成 |
*大学院の期間内に必要性・希望に応じ、学内基礎講座・学外(国内・国外)で研修可。国内研修機関:東京大学神経内科、国立精神神経センター神経研究所、大阪市立大学第一解剖など。
2.神経内科専門医コース(3年間〜4年間)
| 3ヶ月(1) | 3ヶ月(2) | 3ヶ月(3) | 3ヶ月(4) | |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 臨床神経 | 臨床神経 | 臨床神経 | 臨床神経 |
| 2年目 | 神経生理 | 神経放射線/ 脳神経外科 |
神経病理 | 遺伝子解析 |
| 3年目 | 病棟チーフ | 病棟チーフ | 選択 | 選択 |
| 4年目 | 選択 | 選択 | 選択 | 選択 |
選択項目:臨床神経、神経生理、神経病理、神経放射線、脳神経外科、研究室ローテーション
臨床神経、神経生理、神経病理、神経放射線、脳神経外科の研修は一定期間、関連病院(道北病院など)または国内神経内科研修病院でも可
国内研修機関:東京大学神経内科、帝京大学神経内科、慈恵医大神経内科、川崎医大神経内科、国立精神神経センター神経内科、国際医療センター神経内科、日赤医療センター神経内科、横浜労災病院神経内科など
○研修目標は日本神経学会が推奨する神経内科卒業研修到達目標に準ずる 臨床神経として神経学的診察・局所診断・病因診断・検査治療プラン・脳死に関して理解し習得する。
けいれん、めまい、頭痛など各症候の特徴・内容・病態生理を理解し、原因となる疾患の鑑別疾患をあげ、鑑別のための適切な検査計画・治療計画を立案する。
意識障害をはじめとした神経救急疾患の内容・特徴、診断のポイントをよく理解し、それぞれの病態に対して迅速に適切な処置・検査・治療ができる。
学会認定医制度について
| 取得可能な主な認定医・専門医・指導医 | |
|---|---|
| 日本内科学会認定医* ・専門医 | 日本老年医学会専門医 |
| 日本循環器学会専門医 | 日本腎臓病学会認定医 |
| 日本透析医学会認定医 | 日本呼吸器学会認定医・指導医 |
| 日本気管支学会気管支鏡認定医・指導医 | 日本臨床細胞診学会細胞診指導医 |
| 日本感染症学会認定医 | 日本神経学会専門医 |
| *主要な学会の専門医等を取得するためには内科学会認定医は必須。 | |
医局長より
今、新卒後臨床研修制度、国立大学の独立法人化の導入等により医療の現場が急速な変化を遂げています。
このような医療情勢が激変する中で、我々第一内科同門一同は、今だからこそ医局制度の良い部分がなくならないでほしいと切に願っております。
医師という職業は、厳しく、孤独で、長い医師人生の中では一人の力でどうしようもない困難に直面することがあります。医局とは本来任意の親睦団体でありますが、医師・社会人としての精神的支柱であり、様々な問題が生じた時にお互い親身に助け合う場であり、一生の恩師、よき同僚、愛すべき後輩達とめぐり合う場であり、また関連病院との厚い信頼関係で結ばれ地域との橋渡しとなる場として、これまで非常に重要な役割を果たしてきました。
第一内科は第3代目長谷部直幸教授のもと、全人的医療を担える人間性豊かなgeneral physicianとしての確かな基礎の上に循環器・腎、呼吸器、神経の先進的な知識と技術を併せ持つ専門医の養成を目指しております。当科は、伝統的に厳しくかつ優しい指導をモットーとしており、研修医の方々へ責任を持って懇切丁寧に指導いたします。
どうか一人でも多くの方々が大学に残られ、あるいは研修の後大学に戻られて第1内科で一緒に仕事ができますよう医局員一同心からお待ちしております。
ご質問のある方、大学、関連施設の実習、見学を希望される方、研修システムについてご相談のある方、将来を色々と迷っていらっしゃる方、どんな些細なことでも遠慮せず、お気軽に医局長もしくは最寄りの医局員にお尋ねください。
旭川医科大学第一内科
医局長 佐藤 伸之
E-mail:nsato@asahikawa-med.ac.jp







